石川優子が好きだ。
最近二度ほどリバイバルで復刻されるなど、自分の中で数年に一度の盛り上がりを見せることがある。世代的に現役時代はほとんど記憶にない。
ちなみに石川優子といえば、ヒット曲は「シンデレラ・サマー」とチャゲとデュオの「ふたりの愛ランド」。特に後者はベスト・テンでも数週間ランキングに入った(らしい)ので、立派なヒット曲といえる。「らしい」というのは当時の記憶が曖昧だから。「ナツナツ」歌ってた女の人が石川優子だったことも後から知った。
前置きが長くなったが、「月曜日のシャンプー」とはアルバムタイトルで、以前から詞を提供されていた秋元康の世界観さながらのバブル期のエグゼクティブオシャレ感+女性の社会進出の先駆け的なコンセプト。ジャケット写真の打ちっぱなしのコンクリの壁に、床に無造作に置いた固定電話。まるで「右曲がりのダンディ」の世界。しかも全曲英語の副題付き。
全体に言えることだが、この方には喉に負担をかけないしっとりした曲調が合う。喉が強くないのか、ロック色が強いシャウトする曲はマッチしない。(ライブ音源では後半、声がガラリと変わってしまう )ご本人はノリノリな曲が好みの様子だがリラックスした曲調で、キレイな歌声をフィーチャーした方が良かったのではと思う。まさにこのアルバムはコンセプトも相まって良さが前面に出た作品だと思う。
1.Lonely Symphony
このアルバムの方向性を決定づける曲。大人〜な感じで、あまり声を張る必要が無いせいか彼女の魅力がよく現れた一曲と言える。
星4つ
2.1983夏
静かな曲調でスタートするが、サビ部分で力強いコブシが入る。
星3つ
3.魚たちの週末
テンポは遅めだが、シャウト気味の曲。ちょっと無理した感じが若干のマイナス。
星2.5
4.ふたりの関係
シリアス路線が3曲続いたのでちょっとコミカル路線。リラックスした曲調が歌声とマッチ。少し前までこの曲がアルバム内でベストだった。
星4.5
5.真夜中のメリーゴーランド
おそらくこの曲がアルバムのキモ。とてもアダルティ&メランコリー。
CDオンリーのハズだが、レコードならA面の最後を飾る曲。シングルを切ってもおかしくないけど出すとしたら1曲目Lonely Symphony とのカップリングかな?間奏に入るオーボエがステキ。
星4つ
6.ラッシュアワー・モニュメント
まさに総合職採用の20代後半から30代前半の働く女性。同棲中なのか、結婚しても仕事を続けているDINKS (死語)なのか。ただし勝気な感じではなく、どこかしら余裕を感じさせる生活水準とソフィスティケイトされた雰囲気が良い。アウトロで曲調が変わるのは、蛇足。電車がホームに入ってきて出発したのを現しているのか?
星4.5
7.パステルの行方
このアルバムでの白眉。
急に「昔は印刷工場だった」「レンガを積み上げた建物」と舞台はフランス?元カレが画家?という設定に戸惑いが隠せないが、秋元康の歌詞がオサレ感満載で普段なら噴飯ものだが、バシッと心に突き刺さってしまった。
何度も書くが、ゆったりとした喉に負担をかけない曲調で、彼女の良さがバッチリ出ている。
星5つ
8.異国の詩人
イントロは変わっていて、おっ?と思わせるがサビがダサい。アウトロもちょっとやり過ぎ。
星2つ
9.明日に駆ける翼
何でこのアルバムにコレ入れたの?ちょっとパンチが必要と感じたのか、ロック調の「夢は色褪せたりしない」と青臭い歌詞で正直ダサい。
ご本人はこういう応援ソング的なのお好みらしいが…実はこの曲こそシングル切りたかったんでないの?
星1.5
10.Still
イントロのエレピがいい感じ。ただ、途中からまた喉に負担をかけていて苦しそう。サビの前のドラムがちょっと盛り上げすぎな感じ。オーラスだからバーンっと終わらせたかったのかな?
あと最後の英語の歌詞は蛇足。時代なのか?
星3つ
10曲中5曲が星4つ。ちょっと辛めにつけたが今でも十分聴ける良作だと思う。
リアルタイムで聴いていた世代にはフルセイル以前の、ちょっとアイドルっぽさもあった前期の評価が高いと思うが、個人的にはキャリアの中でも一番纏まっていると思っている。